2018年7月30日、東京・浅草にあるライブハウス「Asakusa Gold Sounds」に全国から“ふるさとを舞台”に活動しているアーティストが集まった。
トップバッターはオープニングとしてイベントのテーマソング「あなたへ」を披露してくれた『MY TOWN ARTIST with 小堀育臣』
そして、神奈川県秦野市出身シンガー「Canon〜カノン〜」の桃さんは高校生とは思えない堂々としたステージで「ホイッスル〜始まりの笛」「ココから秦野」を披露してくれた。
栃木県足利市出身シンガー「いせやともか」はアップテンポな楽曲「夕焼け小焼け」から披露し、『今年は足利でたくさん活動をさせていただきました。ぜひ、足利に遊びに来てください』という言葉と共に「藤の咲く季節には」を届けた。オーディエンスはじっとその歌に聴き入っていく。
イベントの中盤は中目黒にあるライブスペース「大一大万大吉」より「カンバン娘」が歌とゲームコーナーを交えながら、盛り上げる。
後半のステージは、「ericka hitomi」が映画「ママは日本へ嫁へ行っちゃダメと言うけれど。」の主題歌にもなった「ハンブンコ」を映画の映像と合わせて披露。
続いて、大阪府高槻市出身の姉妹デュオ「高い月とジェミニー」は先日、発売になったばかりの新曲「ポラリス」を関東では初披露。二人の息のあったステージで魅了し、自分たちで初めて作詞・作曲にチャレンジした楽曲も届けることができた。
そして、山梨県富士河口湖町が生んだ人工ボーカロイド「富士之あん」と続き、場内が暗転するなり舞台を見ているような映像とシンクロしたステージが始まる…。そして、ラストにはこの日のためにダンサー「帰山なつみ」さんを迎え、「現実RPG」を披露し、空気を一変させた。
トリは東京・下町出身のバンド「虎んすペアレンシー」が約3年振りに登場…!エンターテイメント性の高いライブパフォーマンスを展開し、合計8組による約3時間半のイベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
東京デビューではなく
“ふるさと”での活動を大切にする理由
ほとんどのアーティストが「東京でメジャーデビューする」ことを目指して上京してくるが、今回出演したほとんどのアーティストが自分たちの「故郷を活動拠点」にし、地元で応援してくれる方を地道に増やしている。
ライブをする場所もライブハウスに限らず、地域のお祭りやイベントなど様々だ。
確かにWEBやSNSを用いて、どこにいても発信できる世の中にはなったが、特に地方においては大都市の常識がまだまだ常識ではない。
だからこそ、地道ではあるが”フライヤー”や”ポスター”などを持ち、地元の商店街や自治体の方への挨拶まわりから始まり、少しずつ認知や信用を増やしていく。
結果的に大都市で活動していた時よりも、『同郷』ということもあって支援者が情報発信をしてくれたり、活動の場所を提供していただいたり、圧倒的にライブを聞いていただくお客さんの数も増えたという。
JR両毛線「あしかがフラワーパーク駅開業記念イベント」にて
(栃木県足利市 / いせやともか)
700年の歴史を誇る堺の夏の風物詩的行事
「堺大魚夜市」野外ステージにて
(大阪府堺市 / 高い月とジェミニー)
写真提供:エミシン
東京生まれに寄り添った歌を歌うバンド
今回のイベントのトリを飾った「虎んすペアレンシー」は平成元年生まれの「わっきー」「みっか」「りっきー」「よっちゃん」の4人のメンバーで構成され、全員が人情味あふれる「東京・下町」で育った。
彼らは東京の渋谷や新宿にあるライブハウスを中心に活動していたが、東日本大震災をきっかけに、自分たちの地元である東京・下町に根ざした活動をすることを決め、2011年4月21日よりタンバリン、ピアニカ、アコースティックギターに生歌と電気を全く使わない異例のスタイルで浅草六区ブロードウェイにて路上ライブを開始する。
また、路上ライブの前には必ず浅草にあるお店に顔を出し、自分たちのことを少しでも知ってもらおうと、ひと月毎の出会いや気づきなどをまとめた「月刊情報誌」を手作りで作成し、配布した。
挨拶まわりしていたお店の方から
メンバーの名前入りの木札を
プレゼントされたことも…!
これまでに「墨田ジャズストリートフェスティバル」ではバスの中でライブを行ったり、日本最古の遊園地「花やしき」で酔っ払った男女に混じって演奏したり、「浅草サンバカーニバル」に出演した際には炎天下の中で歩きながら演奏をした。
場所は問わず、目の前に聞いてくれる人がいるなら、“みかん箱”の上でも歌を届ける活動をしてきました。
ライブの他にも自分たちがレポーターとなり、地元のことを遊びながら紹介する「下町散歩」というYouTubeでの活動もはじめ、それがきっかけで荒川区・文京区・千代田区地区で放送している東京ケーブルネットワーク「あらぶんちょ」のオープニングテーマ曲として「ニューパラダイス作ろうぜ!」が起用される。
2015年より活動を休止することになるが、サポートのドラマーとキーボーディストを迎え、今回のライブで約3年振りに復活を果たした。
1曲目の「フリーターブルース」から会場を盛り上げ、オーディエンスを圧倒させる。
続いて彼らの表題曲でもある「ふるさとは東京」では情感豊かに歌い上げ、ボーカルのわっきー(脇村健太郎)が『会いたい人がいる。会いたい人がいる場所が自分のふるさと』と話していたが、まさにその言葉の通り「ふるさとを愛する心」を音楽で表現できたステージだった。
次回は4人が揃ったライブを見れることを楽しみに待っていたい!
撮影:Omae Tomoya